不倫の話を聞いて思うこと

今、目の前に起きていることが本当のことなのか。

案外、わからなかったりする。

今、目の前に起きていることが本当のことなのか。

案外、虚構だったりするかもしれない。

 

窓から差し込む太陽の光を浴びて、目覚める。

LINEアプリをタップして、妻に音声通話の信号を送る。

「おはよう」

「おはよう」

 

朝食をとり、歯を磨き、服を着替えて、髪を整える。

耳にイヤホンをつけ、お気に入りの曲を流し、電車に押し込まれ、仕事場へ到着する。

仲間と言葉を交わし、仕事を進め、定時を迎えて、仕事場を出る。

電車を乗り継ぎ、街の光に包まれ、ほどなく歩いて、家の扉を開ける。

 

ここまでの間に、異性と仲良くなってあやしいことをしようとする隙は、いくらでもある。

でもそれは、遠く離れた妻にも同じことが言えるのだ。

朝、LINE通話を経て交わし合う「おはよう」は、

実は隣に間男がいる可能性だってある。当然こちらも女の肩を抱きながらかもしれない。

 

今、目の前に起きていることが本当のことなのか。

案外、わからなかったりする。

今、目の前に起きていることが本当のことなのか。

案外、虚構だったりするかもしれない。

 

私の場合は、虚構ならそれはそれで構わないと思ってる。

少なくとも私に優しくしてくれて、こちらが受け取った感触は本物だった。

その本物の感触が実はウソでしたと言われたとしても、

本物のように感じられる感触を、がんばって提供してくれたことは本当だから。

何が目的だったのかは気になるかもしれない。

単純に他の異性との時間を楽しめば済む所を、

なぜそんなわざわざ私に尽くすような面倒くさいことをしたのか、聞くかもしれない。

世間体? 生活の保障のため? それなら納得してしまうかもしれない。

それでも、なかなかできることじゃないと思う。

パートナーに最高だなと思わせ続けることは。

 

間男と一緒にいる時間は幸せだったのか?

幸せだったのなら、それはそれでよかったじゃないか。

私はいつも、きみの幸せを願ってる。

それを願わなくなったら、きみに間男がいてもいなくても私は去るだろうけど、

今んとこ願ってる。

だから、うまく言うことはできないんだけれど、

もしその愛情が虚構だったとしても、あ、そっか。ってなると思う。

虚構にしては見事なもんだな、って思うだろうな。

そういうことをひっくるめて、一言、信頼してるから大丈夫。という言葉になる。

 

そんなことを、最近始まったW不倫ドラマについて妻と話が盛り上がったことから、ふと思い浮かんだのだった。

 

今、目の前に起きていることが本当のことなのか。

案外、わからなかったりする。

今、目の前に起きていることが本当のことなのか。

案外、虚構だったりするかもしれない。

 

私が「仕事おわりー」とメッセージを送る。

妻から「おつかれさま♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」と、ハートが何個あるか数えにくいメッセージがくる上に、さらにハートがたっぷり埋め込まれてるスタンプを送ってきた。

これがもし虚構だったとしても、なかなか良い虚構じゃないか。

きみが虚構だったとしても、私が感じたものは本物だから、それでいいと思うよ。