何でそんなに冷たいの?

 お風呂上がりに冷蔵庫に冷やしておいたアクアソリタを取り出し、半分ほど飲み干す。お風呂で奪われた水分が体に染み渡るように吸収される。あーーー。うまい。例えて言うなら、一口めのビールはうまい、といった感覚に似ている。でも今まで誰にも共感されたことはない。

 

 先日息子に会った時、なんの気なしに対応してたら「何でそんなに冷たいの?」「何でそんなに怖いの?」と言われた。そうか。独りでいる時間が長いと、知らない間に無表情になっていて、それが家族からは怒っているように見える。かつての自分にあったパターンが出ていたようだ。その息子自体は普段から他人に対して冷たい傾向の態度や顔、応対をしている。それは年齢的にそういう年齢だから至って自然なのだが、妻はそれを見て「反抗期だからそっけない」とか言う。そんな息子が自分のことを棚に上げて私の態度を見て不安になる。

 

 せっかく息子が教えてくれたから、しばらくは優しい態度でいるように仕事で気をつけようと思った。息子にありがとうと言った。そして、息子自身はそういう年齢だからといって嫌な態度を取る必要はなく、むしろ笑顔で優しく対応した方が周りと差別化がはかれて良いし、それが「大人になる」ということだ、と説教したくなったけれどそれはし忘れた。テーブルの端に置いてあった残りのアクアソリタを手に取り、一気に飲み干した。