努力が無駄になった時は

 ガソリンを車に入れ忘れていたことに気づいた。

 時計を見た。深夜1時になろうとしていた。

 いつも利用している地域最安値のガソリンスタンドは、0時で営業終了だった。

 そしてこの深夜1時からは宿舎に向かう。そこは目的のガソリンスタンドとは程遠い所だった。

 

 日々コストパフォーマンスを意識して生活費の節約に一生懸命だ。

 ところがこうした努力は、ふとしたできごと、物忘れ、ぼーっとしていた、などといった、

 些細もないことで水の泡に帰してしまうのだった。

 思わず空を見上げた。寒空に小さな星がぽつんぽつんと見えた。

 

 明日。少し高値のガソリンを入れよう。

 そして青空を見て、伸びをして、深呼吸をしよう。

 そうすれば自然と「ま、いっか」と言ってしまうだろう。

 無駄な努力をした時には、そんな自分をケラケラと笑おう。

 笑う顔には福来たる、だ。