突然、1ヶ月後に辞めて下さい、と言われた時の話

今日は、昨年の転社(転職)にまつわる話を。

業種は変わっていないので、転職というよりは転社で。

 

話があったのは、急だった。

当時いた会社の締日は15日だったが、16日に社長から「来月の15日までおしまいね」と言われた。

寝耳に水の話だったので、驚いた。

 

理由は単純だった。「人数が過剰で、人件費が重い。来年4月には新卒が内定しているから」。自分は薬剤師だが、要はこれまでのキャリアには価値がなく、新卒で代用できる、という評価のようだ。ちなみに自分がこの会社のお手伝いをすることになったのは、「薬剤師の人員が足りないから、なんとか来てくれ、独立支援もサポートする」という話をこの社長はしていた。1年で見事に掌が返ったわけだ。ちなみに私と同時期に同様の理由で入社した人間がもう一人いて、その人間は入社3ヶ月後に同様の理由で掌を返されていた。要はそのような社長だったというわけだ。

 

とりあえず、これから先のことを考えないといけない。一つは、この会社との折り合いをどうつけるか。業界は狭いので、相手の出方によっては相手にも傷をついてもらわないと納得がいかない。もう一つは、これから先どうするか。ローンも抱えたままの40代。とりあえず食べていく先を確保しなければならない。別居している妻と娘も飢え死にする。自分の精神も安定しない。そこで、まず次の仕事先を確保する方向で向かった。

 

転職エージェントに連絡をとり、同時に自分の知人のつてを頼る。新しい仕事は予想外に簡単に見つかった。業界としては売り手市場で、条件を選ばなければ仕事は山ほどあった。そこで、今の収入の2割減だがフルタイムの仕事の内定を、解雇勧告の2日後に決めた。内定が決まると自分の心も次第に安定していき、強気の自分が戻ってきた。

 

それはその後、別の会社も何軒か訪問する際に効いてきた。面接で失敗したとしても、別のところが確保できていれば悪いことはない。なので、自分の納得いかない契約は蹴ることができる。どこでもやってけるんですよ。という自信が、面接相手にも伝わる。キャリアとしては専門職として一通りのことはやってきていますよということが職歴に書いてあり、自信を裏付けてくれる。結果、収入は現状維持、さらに契約金をウン百万円上乗せしますよ、人が足りないんで是が非でも来てください、という会社が現れ、そこと契約することにした。

 

その頃、別の会社(同じ業界)の社長が「人が必要になったから、すぐに来てくれ」という依頼を受けた。過去に所属していたことのある会社だ。辞めたのに声をかけてくれるのはありがたい。いい機会なのでバイト感覚で請け負った。ただ、そこも本当に忙しく、私も元の会社の業務もあり人手が足りなかったので、知人の薬剤師に頼んで、私が働けない時間を働いてもらった。すると、しばらくして知人が私を裏切り、その会社社長を丸め込んで私が働ける時間をナシにして全て知人が請け負う方向に話をつけてしまった。仁義に反する行為に憤ったが、その会社は法律違反スレスレの所をいく会社で雰囲気も悪く、ヘタに首を突っ込むと自分も傷を負うなと思い、いい機会なのでその知人共々縁を切る方向で納得した。実務の分はお金を支払ってくれるという話は裏切られず、数十万円が振り込まれた。

 

そして、従業員のことを考えずに解雇に踏み切る今の会社をどうしようかと考えた。契約書には契約解除には90日後以上の猶予期間をもってという文言が書いてあったので、それを盾に1ヶ月後の解雇後に2ヶ月分の報酬の請求をすることは可能だった。ただ、同じ業界にいれば後日何らかの関係で繋がる可能性はあり、さらに「じゃあその2ヶ月分の金を請求するなら働けよ」となれば結果的に90日以上の猶予期間ができてしまう。内定は2日で決まってしまっていた今、それは金銭的に問題はないが人生的には無駄だ。新しい世界に踏み出した方が楽しそうだ。未来のない今を続けるのは徐々に苦痛になっていた。

 

そこで、「人件費が負担だというなら、解雇されましょう。でも、次の仕事先が決まらないと、私もローンがあるので生活できません。死んでしまいます。なので、仕事先が決まるまでは居させて下さい。」という話をして納得してもらい、相手から「じゃあ来年3月までは面倒見ましょう。4月以降は新卒も入るので無理です」と返答がきたので、こちらが「そんな3月まで無駄な人件費を払って下さるなんて太っ腹ですね! ありがとうございます♡  でもそんなにお金を払ってもらうのは御社にとっては無駄であり、そこまでご迷惑をかけるのも申し訳ないので、来月15日に解雇されてから自分で就職活動しますので、その1ヶ月分の報酬を下さい、それ以降就職できなければ私の責任にします。御社も無駄な人件費を減らせますよね?」と話し、相手から「働かずに1ヶ月分も払うのは多いから、解雇日を10日にして、早めに就職活動してもらえるようにして、そのかわりにお金は月末まで働いたものとして、締日は15日なので半月分プラス働かない11-15日の分も払う。結果、次の報酬は1ヶ月分、次月には半月分を支払う」と提案されたので、『自分が3月まで払うと言ってきたのに働かずに1ヶ月分払うのは多いとか何言ってんだこのクソ社長は、本当に自分の目の前しかみてないな、まあでもこっちも次の仕事先決まってるのに就職活動しないといけないとか言っちゃってるしな! 』と思いながらそれでOKですと言って、文書を用意して印鑑を押させて話を締結した。約束は守られ、総計数百万円が振り込まれた。

 

結果、新しい仕事場は雰囲気も良く、若いスタッフが多く、その若者ががんばってくれている、良い仕事場だ。転社としては成功だと思う。と同時に、また掌を返された時の準備をしていく。そして臨時収入も結構な額を頂いた。そのお金は2割を家族の行楽のために遣い、残り8割を投資に回す。近い将来、労働者をしなくても生きていけるようにするための投資だ。その投資する姿、そして労働から解放された姿を息子に見せたい。どう息子が育つのか、楽しみだ。

 

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レターポット、やってます。恩送りをする、という発想が好きです。

名前は「一包化 ダイレクト」です。

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