少しずついい女になってきた

 女の子の髪がサラッと流れて、ふわっと着地する。長い髪が少し顔にかかる。ローラーブレードで滑りながら、目線をこちらに流し目で送ってきた。女の魅力が出てきた。最高だな、と思った。

 

「ね。鬼ごっこしよ。パパが鬼で、あたしが逃げるね。一生懸命逃げてると、ローラーブレードもうまくなるんだよ?」

 

 年齢の割には生意気におもしろいことを言うと思った。女の子がこけない程度に追いかける。するとその女の子はケラケラ笑いながら足を早めていった。頃合いを見て、追いついてやった。鬼交代。今度はこちらがウネウネよろけながら逃げると、またケラケラ笑いながら足と体をこちらに向けてくる。その足使いが、時間が経つごとにスムーズになっていく。自分で言ったちゃんと実行していて、やるなあと思った。

 

「ちょっと。追いついてるのに、体をひねってあたしの手をかわすのは反則だよ! まだあたし、そんなにバランス取れないし!」

「ねえ、何か滑るテクニック教えてよ。もっとうまく滑りたい!」

 

 ローラーブレードで滑ってる、楽しそうな女の子。その横でてくてく歩いていくよりも、一緒に滑る方が楽しそうだ。私は自分用のローラーブレードを買うことに決めた。

 

「よーし。そろそろ家に帰ろうか」

 えー? まだー! と言いながら私に向かって突っ込んでくる女の子。ぼふっと顔が胸元のちょっと下に埋まる。「うぶ!」と女の子が言った。そして2人でケラケラ笑った。