ひげの手入れを始めたらオシャレマスクに関心を持つようになった話

 ひげの手入れをしてしまってる。

 

「ひげがないと若く見えるね」と、よく妻に言われる。うっかりひげを剃っていないと「ひげ剃っていないの?」と聞かれる。その表情は当然「ひげを剃った方がいいのに」と言っている。ここまでは普通だが、ひげを剃っていると妻は嬉しそうに見てくれる。それが良い。

 

 妻が嬉しそうなので、ひげを剃る。若い頃はひげを剃らずに抜いていた時期があって、剃ると青髭がうっすら見えることがあるのだが、抜くと毛がなくなるので青く見えない。すると少し若く見える。それがいいと妻が言う。そう言われると嬉しいので、最近またちまちまとひげを抜くようになった。

 

 全てのひげをぷちぷち抜くのは大変なので抜く場所を必要最低限にしようとする。するとあごひげは残しても支障ない気がしてきて、自然に残っていく。今は都合がいいご時世で、マスクのおかげで鼻から下を隠すことができて、その影響であごひげを伸ばしても日常悪い影響がない。そんな感じでマスクはひげ隠しに活用され、ひげは誰にも見られない所ですくすくと育っている。

 

 ふと髪形を作るのが面倒になって、髪の毛をヘタにひねりを加えずにサラサラかつ艶のある髪質に見えるようにヘアワックスを塗るようになった。そこでマスクをすると、サラサラヘアーで眉毛と目しか見えない状態になる。この状況で仕事をしていると、ふと顧客の反応が明るく良くなった気がした。なぜだろうと思って自分のマスク顔を鏡で見てみると、そこには髪形とマスクのおかげでシワがうまく隠された童顔の自分がいた。

 

 なるほど、若く見えるのか。これは思わぬマスクの効用だ。確かに他人もマスクのおかげで粗が隠されてかっこよく美しく見えている人がいるように思える。マスクひとつで他人の対応が柔らかくなるのは楽だし嬉しいので、それならマスクも使い捨てのものではなく、おしゃれでかっこいいものを意識しようと思った。