AV女優と握手して妻にキレられた話 後編

こちらの話の続きです。

AV女優と握手して妻にキレられた話 前編 - 愛し合う夫婦が別居してからの記録を残す日記

AV女優と握手して妻にキレられた話 中編 - 愛し合う夫婦が別居してからの記録を残す日記

あらすじとしては、AV女優の握手会に行った私がツーショット写真を撮ってもらって、それを見た妻がキレてゴールデンウイークに会う予定をキャンセルすると言った、でもそんなことはおかまいなしにゴールデンウイークに会いに行ったところまでの話。でした。

 

家の最寄り駅までたどり着いた。近くにある花屋に寄る。妻は花を見るのが好きで、ほかの方が一度行けばもう満足と言っちゃうようなお花の広場や、お花の公園に何度も行きたがる人。そこで、再会したときに花を渡し、機嫌を直してもらおうという算段だ。どういう会話の流れにしようか。

花言葉知ってる? と聞く。

知らない。何? と返される。

ふっふっふっ。花言葉は「謝罪」

「プッ(笑)」

よし!ネタ1つできた!とか考えながらスマホで時間をチェックすると、画面には妻からのメッセージが表示されていた。

 

「駅前にいる」

 

なーーんや。ちゃーんと迎えに来てくれてるやん。メッセージは10分ほど前。あまり放置するとそれはそれで機嫌を損ねるので、とりあえず電話する。どこにいるの。今、花屋にいるよと伝える。なんで? まあそっち行くから。と言う妻の声の隙間から、娘の元気そうな声が聞こえてくる。もうすぐパパに会えるの? とか聞こえてくる。かわいいやつだ。だが、花屋にいることを教えてしまったので、サプライズで花を渡せなくなり、機嫌回復効果はおそらく半減した。それならば、店で合流する前に花を選べばOK! と思ったその時に、遠くから「パパー!!!」の声。TIME UP!!!

 

走ってきた娘の勢いを利用して、上へ高く持ち上げてあげる。

娘「ぱぱ!! やっと会えた!!

私「元気そうやな。今日も超かわいいやん

娘「ほんと? 嬉しいー!!

 

抱擁する父と娘。それを少し離れて冷めた目で見ている妻。

 

私「おつかれさん。すんなり会ってくれるとは思わんかったな

妻「・・・私は離れて見てるつもりだったけど、娘がダッシュでそっち行ったから、仕方なく

私「カーネーションが時期的にいっぱいあるから、いる?

妻「なんで買うの?

私「おまえにプレゼントするためやん

妻「なんで?

私「ええやん。花、好きやろ?

妻「まあ、好きだけど。。。

私「カーネーション。鉢植えとか、あるで?

妻「鉢植えは、枯らしてしまうから、いらない。カーネーションも、別にいい

私「じゃあバラな!!

妻「え?

私「娘ちゃん、バラは何色がいい??

娘「あたしは、この白いのがいいなー。花が大きいし!

私「オッケー。じゃあ妻には赤いバラで、娘ちゃんは白いバラな!

娘「やたー!!

私「ところでさ、知ってる?

妻「何?

 

妻「・・・・だから、何?

私「バラの花言葉、知ってる?

妻「愛情でしょ

私「(計画倒れ!!!!)

  ち、違うで?

妻「違う? じゃあ、何よ?

私「あ、愛情と、謝罪と、大切。うん。それそれ。

妻「・・・・その真ん中のやつ、ちゃんと強調しといてもらいたいわ

 

妻から会話が始まることはなかったが、無事合流できたので、食事でも行こうか、となった。何が食べたい?と聞く。別になんでもいいけど、と妻。お寿司たべたーい! と娘。ということで、近場にある回転寿司屋に決定した。会話をする気のない妻とは裏腹に、娘からは次から次へと言葉が溢れ出てくる。友達の話、習い事の話、学校の話、娘のことが好きな男の子の話。そして大好きなお寿司の話。食事が終わり、自宅に帰り、お風呂に一緒に入り、ベッドで寝かせるまで、娘はずっと話し続けていた。娘のかわいさに幸せな気持ちになりながら、自分も眠りに落ちていった。

 

・・・・・なんか、首元がもぞもぞする。眠い。頬に何か当たる。眠い。唇があったかくなる。唇から頬、首、肩へと、柔らかいものが這っていく感覚。眠気に浸りながら、うっとりする気持ちよさに酔っていた。妻が、私の顔を中心に接吻を繰り返していた。・・・・なるほど、仲直りはセックスで、ですか。オッケーそれ乗った! と手を胸に伸ばした瞬間

「まだ怒ってるよ」

響く声。なんじゃそら。それで怒ってんのかい。思わず笑いそうになる。妻の愛撫は続き、上半身を一通りコンプリートした後に臀部に向かい、臀部も一通り嗜んだ後、体をそっと離し、少し離れたところでゴロンと寝転がった。目を少し開けると、どうやらスマホをいじっている。ん? 焦らしプレイ? とりあえず尿意を催したので、トイレに向かった。

 

トイレから戻り、妻の横へ割り込む。

私「・・・・・・おしまい?

妻「寸止め

 

そうか寸止めか。フフフと笑う。どうやら、ここで話し合いが始まるようだ。暗闇の中、体を密着させながら。

 

私「あれ(AV女優と密着して恋人つなぎしたこと)は、とくにやましい気持ちはないんだけど

妻「異性と密着してた

 

AV女優さんとツーショット写真を撮ってもらう際、自分が横に並んでカメラに目線をやったその刹那に、その女優さんは私の左腕と体の間に彼女の右腕を滑り込ませ、手をつなぎつつ指をからませてきたのだった。それは一瞬のできごとで、え?? そんなことやってくれるの?? すっげーサービス精神!! という驚きが大きかった。これはファンは喜ぶ。そのプロ意識に心から感心した。

 

あとは、私もファンなので、絡んできた手を思わずぎゅっと握ってしまった。憧れの女優さんだから、自然と力が入ってしまう。それが嫌だというのなら、それは正直ゴメンナサイではある。でも頭の中では別のことを考えていた。この私の手の薬指には結婚指輪がはまっているので、その感覚が女優さんにも伝わっているはずだった。妻がいるのにこのような握手会に来る男を、客としてどう考えてるのか。仕事だからどうでもいいのだろうか。または、本当は軽蔑したいのだろうか。それとも既婚者でファンの男は実は当たり前に多くて、そのうちの一人という感覚なのだろうか。彼女が何を考えているのか知りたいな、といった方向に関心が行っていた。

 

一方で、体が密着しているかどうかは、まったくそんな感覚はなかった。後で写真を見たら、腕が交差してることもあり、女優さんの頬が私の肩に触れる程度には密着していた。のだが、普段妻と一緒にいる時にはそれ以上の密着が常で、私の腕が妻の胸をこすりまくる程度には密着していて、それが通常の感覚として残っている。それに比べると、女優さんと私の距離は離れていた。なので、自分の中では女優さんと密着している気はなかったのだった。なので、「言われていれば密着しているなあ」という感覚だった。が、後日似たような距離感の男女を描いた漫画家の方がいて、「この距離はセックスしてる間柄の距離感ですよこれは」とコメントがついていたので、やはりパートナーとしては嫌な距離感だったのだろうということは理解できた。それもまた、男性慣れしているとはいえ、そういう距離感を演出できる女優さんのプロ意識に感心するばかりだった。いわゆる「神対応」であった。

 

私「まあな。でも、握手会で口説き落とすとか、ありえないしな。有名人やから、偶像やし。ディズニーでミッキーに会いに行って抱擁するとかと、同じ感覚やで

妻「ミッキーと違って異性じゃん

私「憧れの存在としては同じようなもんやろ。ツーショット撮影とか、同じようなパターンでやってたで

妻「ミッキーに欲情しないじゃん。でもそっちは欲情するでしょ

私「まあ、それはそうやけれども。。。でも現場でナニかするとか、ないし、ありえないじゃん

 

私としては、実際に何かイヤラシイことをしたわけではなかったので、悪いことをした気持ちは全くなかった。それでも、妻が嫌な気分になったのも事実だった。ということで、お互いが正しさを主張することに意味はなく、ヘタをするとお互いの思いやりを阻害するリスクがあった。よって、起こったことに関しては謝り、再発防止に努めていく方向に話を進めていった。

 

私「せやから、まあ、これからは、密着して恋人繋ぎ、みたいなことが起こらんようにしてくから、ごめんな

妻「・・・・・・・

私「・・・・・・・

妻「・・・・・・・

 

沈黙の時が流れる。どれくらい時間がたっただろうか。やがて妻は、私の胸に顔をうずめた。

 

妻「・・・・・どうしてこんなに好きなんだろ

 

そうつぶやく妻の頭を、ゆっくり撫でる。体を、自分の方に引き寄せた。

 

妻「・・・・許すのに、条件があるの

私「・・・・それは、何?

妻「・・・・5月7日、余分に1日休みをとってるよね

私「・・・・うん

妻「・・・・その日、2人でデートしてほしい

 

なんて簡単な条件なんだ。

 

私「・・・・ええよ。デートしよう

 

妻の頬に手を添え、唇を重ねる。そうして、仲直りの行為が再開された。

 

--------------------------

次の日の朝、目が覚めた娘がふと見ると、自分のパパとママが少し笑って話していた。

娘「ねえ、ママ。

妻「なあに?

娘「パパと、仲直りしたの?

妻「・・・・うん、したよ