AV女優と握手して妻にキレられた話 中編

こちらの話の続きです。

AV女優と握手して妻にキレられた話 前編 - 愛し合う夫婦が別居してからの記録を残す日記

あらすじとしては、AV女優の握手会に行った私がツーショット写真を撮ってもらって、それを見た妻がキレてゴールデンウイークに会う予定をキャンセルすると言った、という話。でした。

 

さて。どうしようか。

 

とりあえずメッセージの会話の中で「ごめんなさい」と謝ってはいる。この時点で4月24日。妻と子供に会うのは5月2日の予定。それまで結構な時間がある。怒りという感情自体はそう長続きしない。そのかわりに、怒りが収まったときに出てくる感情が「諦め」と「淋しさ」。

 

諦めが強いと「見捨てる」につながり、その場合は放置すると関係が破綻する危険がある。それについては、これまでの関係で信頼をどれだけ蓄積しているか、という点が大きいと思うが、これは割と自信がある。別居している間に身に覚えのある喧嘩は1度もなかったし、悪いこともしていない。一緒にいる時はたくさん会話しているし、肉体関係も問題なく続いている。となれば、もうこれ以上親密になりようがない女性と密接して手を繋いだだけで14年の夫婦関係が破綻する、ということはないだろう。

 

ということで、今のところこちらのメッセージを既読無視されているが、会えない時間は怒りを鎮めてくれる時間と割り切って、自然な感じでこちらも放置し、実際に会って愛情を示せば仲直りできるだろう。そう考え、どっしり構えて、来たる時を待つことにした。

 

万が一訪れる「破綻」の可能性を考える。そうすると自分も淋しくなる。そうなると妻に優しくしたくなる感情が出てくる。

 

仕事をしていない独りの時間に、妻に会いたくなる気分になる曲を流す。私の場合は、Donna LewisのNow in a Minuteというアルバム。淋しい雰囲気からあったかい雰囲気に移り変わる演奏に、かわいいボーカルが乗っていく曲が多く、女性との甘い雰囲気に包まれたいけれどかなわない、といった淋しい時にとても親和する。毎日Donna Lewisを流していると、少しずつ、腕の中で妻に微笑んでもらいたくなってきた。

 

そういえば、妻の若いころの写真が部屋の奥にあったはずだ。なくしてしまってたら、やだなあ。と考えながら探すと、無事見つかった。その写真の妻は、激烈にかわいかった。しばらく写真にみとれる。そうそう、かわいくてエロいのがよかったんだ。懐かしい気持ちが蘇る。歳を重ねるごとに、若い頃と比べて外見が劣化するのは自然なのだが、外見が変わっても中身がその人であることには変わりがなく、若い頃の素敵な写真は歳を重ねたその人が持っていた魅力を再確認させてくれる。オレはこんなかわいい女を、妻にしているんだ。そう思わせてくれるだけで、大切にしたくなる気持ちが強くなる。

 

そうやって妻への愛情を増幅させている刹那に、妻からのテレビ電話が着信する。日曜日。

私「お? どしたん?

妻「娘が話したがってるから

 

早々にテレビ電話から去る妻。まだ楽しく話す気はないようだ。代わりに画面に登場した娘は満面の笑みで話しかけてきた。パパと会えなくて淋しい。いつ会えるの。笑顔で聞いてくる娘に、4日後だよと明るく教える。遅いよ、と娘。早く会いたい。もっと早く来てよ。と続ける娘。かわいい奴だ。仕事があるから仕方ない、ごめんなと声をかける。自転車を買う約束してたやろ? 楽しみにしとけよ、という言葉に反応する娘。自転車、楽しみ。友達と遊ぶ時も、友達だけ自転車に乗ってて、あたしだけ走って追っかけていってたから。自転車があると、友達と一緒に動けるから、うれしい。そう話す娘の嬉しそうな声に、おまえ最高だな!と思いながら、そのどさくさにまぎれて自転車を買うためにというゴールデンウイークに会う口実が確定した。

 

そして、会う予定の5月2日。ここまで夫婦間の連絡のやりとりは一切ない。いつも会う日は、出発した、新幹線に乗った、○○駅に着いた、などといった連絡を取り合うのだが、今回は一切ない。子供に会う口実があるので妻の元に向かうが、妻の怒りを鎮静させたわけではないので、遠距離と時間をかけて行っても門前払いされるリスクは残っている。でも、まあその時は「え? 何怒ってんの? 大変やなあ!はっはっは!」とか言って、妻の意に介さずマイペースをキープして家に乗り込む予定である。そんなことを考えながら、家の最寄り駅までたどり着いた。

 

続きます。

一気に最後まで書くつもりだったんですけど、意外に長くなったのと寝る時間が近づいたので、また後日。